私たちが二度と加害者にならないために
私たちは、自分の顔を見ることはできません。鏡に映っている姿は、左右逆転している虚像でしかありません。自分の姿を見ることはできなくても、自分の行動が他者の目にどう映っているかを感じることはできます。その感じる姿勢こそが、より良い自分を生み出す力となるのです。自国の歴史も同じです。
今回の選挙では、今の日本の危うい現状が示されていました。他者を排除する考えがどんな悲劇を生み出すのかを考えなければなりません。その大きな教えが私たちの歴史に在ります。
それが1923年の9月に起きた関東大震災と、そのなかでの夥しい朝鮮人が虐殺された事実です。
埼玉県内各地では200人を超える朝鮮人が殺害されました。その犠牲者の一人が姜大興青年でした。名前がわかっている犠牲者は二人しかありません。今やっと、さいたま市で起きたその事件の詳細がわかってきました。そして姜大興さんの人物像もわかってきました。
関東大震災記念日直前の8月末に、あらためてその真相と実態、そして殺された青年の実像に向き合う展示会を行います。また、県内での起きた事件の背景にあるものは何かを、詳細な地域研究から判明した最新事実も明らかになりつつあります。
どうして普通の人が、何の罪も無い普通の人を集団で殺害するに至ったのかを、知ることによって、現在の私たちの危うさと、それに向き合い方法を手に入れることができると思います。不当な差別と偏見にとらわれた中で、何が起こるのかを今こそ知る必要があります。
私たちが二度と加害者にならないために、多くの方に見ていただきたいと思います。
